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【解説】半導体「コンピュータに使われるIC(集積回路)の総称」

半導体 / Semiconductor

コンピュータに使われるIC(集積回路)の総称


概要


半導体を制するものは未来を制する


半導体を支配する者は、科学技術の将来の支配するものだと言われている。5Gと人工知能は世界に大きな変化をもたらすが、これらすべての技術開発は、半導体技術に関わっている。

 

現在、世界最大の価値のあるブランドであるアップルから、独自のチップを製造するサムスン、ヨーロッパ、米国、日本の大手自動車メーカーまで多くの企業がチップ不足に直面している。今後数四半期で、これらの企業の生産能力が影響を受ける可能性がある。

半導体の特徴とメリット


半導体は、一定の電気的性質を備えた物質である。物質には電気を通す「導体(金、銀、銅)」と、電気を通さない「絶縁体(ゴム、ガラス、セラミックス)」とがあり、半導体はその中間の性質を備えた物質とされている。

 

中間的な性質を備える半導体は、温度によって抵抗率が変化する。低温時ではほとんど電気を通さないが、温度が上昇するにつれて、電気が通りやすくなる

 

こうした性質が、多くの電化製品の制御を行なう上でとても役立っている。

半導体はどこで使われているのか


 エアコンには温度センサーが使われているが、そのセンサーは半導体が使われている。炊飯器がおいしくご飯を炊けるのは半導体で火力をきめ細かく制御しているからである。パソコンを動かすCPUも半導体である。その他、携帯電話/スマートフォン、デジタルカメラ、テレビ、洗濯機、冷蔵庫、LED電球など、さまざまなデジタル家電製品に半導体は使われている

 

銀行ATMや電車の運行、インターネット・通信などの社会インフラも、その中枢は半導体に支えられている

 

高機能化した社会インフラの普及は、医療ネットワークによる老人介護など、高齢化社会にも貢献している。また、効率の良い物流システムは、エネルギーのムダを省き地球環境の保全を促している。

 

自動車では、半導体デバイスの搭載数が確実に増加している。自動車に搭載される半導体は、マイコンをはじめ多くの種類がある。今後特にADAS(先進運転者支援システム)用でより多くの半導体が使われる見込みである。

日本の半導体産業の歴史


半導体産業は約50年の歴史がある。

 

半導体の黎明期が1965年から1970年代にあたり、1965年にテキサスのケルビンが開始し、IBMが発展させ、インテルが大きく伸ばした。日本も通産省、エレクトロニクスメーカー、大学が産学連携し、国をあげて産業に乗り出した。

 

1980年代後半には日本は全世界のトップシェア(53%)に成長した。日本の半導体メーカーは、日立、東芝、三菱、日本電気、松下、富士通の6社だった。

 

その後、日米半導体摩擦が起き、1986年に「日米半導体協定」を締結。まさに今のアメリカと中国との関係が1980年代に日本とアメリカで起きていた。半導体はまた軍事技術そのもの、特に通信・無線で使われていた。

 

1990年代に入ると日米の間で半導体の価格を固定するというFMV(フェア・マーケット・バリュー)が起きた。本来は価格をどんどん下げて安く大量生産して利益を得て、キャッシュフローを次の投資に使っていくのが理想的な半導体ビジネスモデルになるはずだったが、アメリカの高値固定の価格協定により日本の半導体は打撃を受けた

 

さらに、80年代から90年代にバブルが崩壊し、日本経済は苦境に陥る。さらにプラザ合意から巨大な円高不況に陥り、日本の半導体産業は決定的に衰退した。

 

同時期に全世界で大型コンピュータからパーソナルコンピュータへ以降するダウンサイジングが発生し、インターネット革命が起きる。日本がこれまで得意としいてた大型コンピュータの需要が大幅に落ちた。

 

一方、アメリカはインターネット革命でシリコンバレーを中心に半導体産業を発展させるが、設計だけ担当し、製造は韓国や台湾など日本以外の海外へ水平分業する経営方針を採用した。

 

2000年代になると日本のメーカー各社は、半導体部門を分離して、NECと日立から分離独立したエルピーダメモリ、日立・三菱電のルネサス・テクノロジなど立ち上がり再編された。東芝だけは独立していたが、ここ4〜5年で衰退状況に陥っている。

 

日本の半導体が海外に負けた理由は経営体制にもある。水平分業のアメリカや台湾と異なり日本は垂直統合の経営で、開発から設計、検査、マーケティングまですべて自社で行っていた。水平分業のメリットは巨大な設備投資ができることだった。

 

日本型経営の失敗

  • 垂直統合方式(企画、設計、製造、販売、サービス)
  • 品質とコストを同時に追求
  • 膨大な投資、償却負担
  • 全員参加、合議制、シェア重視、新製品の頻繁な投入
  • 多角化、ゼネラリスト、終身雇用
  • 国内に大きな市場

次に「ムーアの法則」という半導体業界特有の大きな技術革新がある。ムーアの法則とはインテルのゴードン・ムーアが1965年に提唱したもので、チップ上に集積できるトランジスタの数は18ヶ月ごとに2倍に増えるというものだ。

 

3年で4倍、4年半で8倍、15年で1024倍になるが、1024倍までは日本のメーカーは垂直統合経営で対処できたが、2010年のスマホが登場しはじめる頃になると当初から計算すると6000万倍の集積になる。

 

米半導体協定で固定された価格と垂直統合経営では、キャッシュフローが追いつかず膨大な投資と償却負担で、提携して水平分業している韓国や台湾などほかの国の巨大施設と水平分業しているアメリカと太刀打ちできなくなった

半導体危機と台湾


2021年の台湾株式市場は好調であるが、その最大の貢献者は台湾の半導体産業である。台湾は半導体とチップの生産の中心地である。TSMCは最高の評価と精錬された技術を持つ契約チップ製造会社であり、最先端チップの84%のシェアを占めている。

 

台湾の半導体の強みはサプライチェーンである。過去20年間で、台湾の上流部門と下流部門が一体となって、統合された半導体サプライチェーンを生み出した。チップ不足の問題は数シーズンで解決可能だが、ハイテク産業のサプライチェーンは短期間で確立することができない。台湾は、その強固な技術基盤と包括的なサプライチェーンを確立して、世界の半導体生産量の30%を占めている。

 

台湾の蔡英文大統領は、中国本土からの脅威に対して対処すると述べているが、台湾が中国共産党に自力で抵抗するのは無理がある。台湾の半導体産業は台湾の最強の武器だが、最も脆弱な部分でもある。もし、中国から攻撃を受けた場合、世界の半導体に関わる産業、世界経済は巨大な影響を受け、世界恐慌に突入するだろう。

 

米国のジョー・バイデン大統領は世界の大手技術企業のリーダーを集めて、アメリカの半導体産業を強化する話し合いを行った。バイデンは、中国が半導体サプライチェーンを支配することを目的としているため、米国は自国の半導体産業を強化すべきであり、このセクターへの投資は遅れることはないと指摘している。

半導体の素材とは


代表的なのはシリコン


半導体に最も多く使われている素材はシリコン(元素記号=Si)である。日本語でケイ素と言われ、地球上で酸素の次に多い元素である。多くは土壌や岩石にあるが、天然水、樹木、植物などにも含まれ、最も「ありふれた元素」である。

 

しかし自然の中にあるシリコンは、酸素やアルミニウム、マグネシウムなどと結びついているため、シリコン元素の抽出には精錬が必要となる。なかでも、IC(集積回路)などの半導体に使われるシリコンでは、「99.999999999%」(イレブン・ナイン)という「超高純度の単結晶構造」が要求されるため、抽出後に各種の製造工程を経て精製される。

https://www.hitachi-hightech.com/jp/products/device/semiconductor/silicon.htmlより
https://www.hitachi-hightech.com/jp/products/device/semiconductor/silicon.htmlより

これらのプロセスでは、成膜工程の洗浄液や材料ガス、露光工程のレジスト(感光材)やフォトマスク、エッチング工程のエッチングガスなど多彩な材料が用いられる。

 

世界の半導体出荷量に占める日本半導体メーカーのシェアは1割に満たないが、シリコンなどの半導体素材メーカーの日本企業のシェアは5割に達するとの試算もある。

中国リスクと輸出規制を回避して「韓国」が半導体素材の中心地に


日本政府が半導体・ディスプレー核心素材の韓国向け輸出を3年にわたり規制していることを受け、現在日本の半導体素材メーカーが規制を避け韓国と台湾での生産規模を大きく増やしている

 

日本政府は2019年7月1日から半導体・ディスプレー核心素材であるフォトレジストフッ化ポリイミドエッチングガスの3品目の対韓輸出規制を大幅に強化した。

 

日本銀行の国際収支統計によると、日本の化学企業の対韓直接投資規模は毎年増加している。こうした流れを主導するのが半導体関連素材企業の投資だと同紙は伝えた。日本のある半導体企業関係者は「米中や日韓での供給網の分断リスクが浮上するなか、現地生産の要望は年々強まっている」と話した。

 

東京応化工業は仁川(インチョン)の松島(ソンド)にある既存の工場に数十億円を追加で投資してフォトレジスト(感光剤)生産能力を2018年に比べ2倍に増やした。フォトレジストはシリコンウエハーに回路を描くのに使われる半導体の核心素材だ。東京証券市場1部上場企業である東京応化工業は世界最大のフォトレジストメーカーで、世界シェアは25%に達する。

 

ダイキンは韓国の半導体製造装置メーカーのC&Gハイテクと合弁会社を設立し忠清南道唐津(チュンチョンナムド・タンジン)に3万4000平方メートル規模の半導体製造用ガス工場を新設する計画だ。工場建設には今後5年間に40億円が投入される。来年10月から半導体製造に使われるエッチングガス(高純度フッ化水素)を生産する予定だ。

 

昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)も2023年までに200億円を投じて韓国と台湾でシリコンウエハー研磨剤と配線基板材料生産設備を増設することにした。10月に京畿道安山(キョンギド・アンサン)に新工場を作り生産能力を30%引き上げる計画だ。この会社はSKマテリアルズと合弁法人のSK昭和電工を設立して韓国に進出した。

 

 


■参考文献

https://www.hitachi-hightech.com/jp/products/device/semiconductor/properties.html、2021年5月4日アクセス

https://www.youtube.com/watch?v=uWlA5kyV5RE、2021年5月4日アクセス

https://www.youtube.com/watch?v=0N4nXOULkfw、2021年5月4日アクセス

https://t.co/sj0JmIfThX?amp=1、2021年5月4日アクセス

https://news.yahoo.co.jp/articles/1f6ba8d76ca6ee86997f81b3c5dc193936969075、2021年5月4日アクセス