ビヨンド・ミート / Beyond Meat
ビーガン向けの植物由来の肉製品を製造する会社

概要
種類 | 公開会社 |
ティッカーシンボル | NASDAQ: BYND |
産業 | 食品 |
設立 | 2009年 |
設立者 | イーサン・ブラウン |
出資者 | ビル・ゲイツ、レオナルド・ディカプリオ |
本社 | カリフォルニア州エル・セグンド |
売上 |
3300万ドル(2017年) 8790万ドル(2018年) |
ウェブサイト |
ビヨンド・ミートはロスアンゼルスを拠点にしている植物由来の代用肉を製造する会社である。ビーガン(完全菜食主義者)向けの食材を製造する最もよく知られている会社として注目されている。
ハリウッド・スターのレオナルド・ディカプリオやマイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツの資本参加で知られる「食品テクノロジー企業」である。同社は鶏肉、牛肉、豚肉ソーセージに代わる製品を開発し続けている。
同社は2009年にイーサン・ブラウンが設立。同社の製品は2013年に米国各地で発売がはじまった。エンドウ豆から抽出した植物性タンパク質で作ったハンバーガー用のパティを開発。
2016年5月には高級スーパーのホールフーズ・マーケットなど国際基準の食料品店の食肉コーナーで初めて植物由来のハンバーガーの販売をはじめた。
2019年5月に米ナスダック市場に新規上場。
タンパク質と肉の未来を語るイーサン・ブラウン
歴史
同社は2009年にイーサン・ブラウンによってカリフォルニアを拠点とするスタートアップとして設立された。
クライナー・パーキンス・コーフィールド・アンド・バイヤーズ、Twitter、ビル・ゲイツ、ビズ・ストーン、米国人道協会、タイソン・フーズから出資を受け、2013年4月に全米のホールフーズ・マーケットで植物由来の鶏肉製品の販売をはじめる。価格は2枚のパティが入ったパッケージで5.99ドル(約680円)。2014年には植物由来の牛肉製品を開発した。
タイソン・フーズは2016年10月、ビヨンド・ミートの5%の株式を購入。同社の新規株式公開に先立ち、2019年4月に6.5%の株式を売却し投資を終了させた。
2018年6月、ビヨンド・ミートはミズーリ州コロンビアに2つ目の製造施設を開き、食品製造スペースを3倍にまで拡大。また、同社は全米での自社製品の販売箇所は27,000以上に拡大したと発表した。
同年7月に英国のテスコやカナダのA&Wと提携し、同社製品を50の国際マーケットへと展開している。
2019年4月、ドン・リー・ファームズがビヨンド・ミートに対して民事訴訟を起こしている。ドン・リーによれば契約違反を主張しており、また「不十分な食品安全プロトコルに関する」問題を挙げている。
現在、ビヨンド・ミートの時価総額が60億ドルにも上り、2018年の売り上げは前年度比170%増の8790万ドルで、さらに今年は同140%増の2億900万ドル、2020年には同60%増の3億3500万ドルになると予想されている。
なお、カナダでは牛肉生産者たちがカナダ食品検査取次店(CFIA)に対してビヨンド・ミートへの苦情を申し立ている。「肉製品」という用語は動物性食品であると指定されているため、ビヨンド・ミートが同社の製品を「植物由来の肉製品」という宣伝文句を行う権利はないという。
「未来は植物ベースのタンパク質が大半だ」。これはが新しい植物由来の食肉代替食品で食肉産業をかき乱しているビヨンド・ミートCEOで設立者のイーサン・ブラウンの言葉である。イーサンは私たちの地球を保護し、健康的なライフスタイルをおくるには食肉の消費習慣を変革する必要性があると確信している。
生産品
同社はさまざまな植物性タンパク質由来の食品を開発、製造している。
ビーガン用代替肉製品は、エンドウ豆のタンパク質単離物、米タンパク質、緑豆タンパク質、ココナッツ油、ならびにポテトスターチ、リンゴ抽出物、ヒマワリレシチン、ザクロ粉末などの成分と一連のビタミンのミネラルの混合から製造されている。
原料は混合されたあと、鶏肉のような食感を形成するためにスチーム、プレッシャー、冷水などの機器を備え特別設計の機械を使って調理する食品押出機へ移される。
2014年のまででは、同社の製品はビヨンド・チキンとビヨンド・ビーフで構成されていた。植物原料だけを使用したミンチ肉やミートボールなど、徐々に製品ラインナップを増やしながら開発を進め、2014年、同社は「The Beast」というハンバーガー・パテ状新製品の開発とテストを開始したと発表。
植物性タンパク質由来のハンバーガーパティは、プレゲームイベント期間中にニューヨーク・メッツの選手により試食され話題になった。2015年2月、ビーガンとソイフリーを含まないハンバーガーパティ「ザ・ビースト(ビースト・バーガー)」の販売が開始。
ビースト・バーガーは正式にソイフリーのビーガンバーガーとして宣伝され、1つのパティから摂取できる栄養分は、抗酸化物質、鉄、カルシウム、ビタミンB6、B12、D、カリウム、DHAオメガ3、ALAオメガ3に加えて23グラムのタンパク質。カロリーは290カロリーと、一般的なパティとほぼ変わらない。一方、コレステロールはゼロで、グルテンフリー、遺伝子組み換え作物(GMO)も使っていない。

2016年5月、同社は全米の食料品店の肉コーナーで牛肉、鶏肉、豚肉と一緒に最初の植物由来のハンバーガーの販売をはじめた。販売されたハンバーガーには20グラムのタンパク質が含まれており、大豆、グルテン、コレステロールがなく、80/20バーガーの飽和脂肪の半分である。ただ、味付けされていないハンバーグ肉の5倍の量のナトリウムを含んでいる。
オタワ大学の肥満専門家は、飽和脂肪誘含有量は牛肉のハンバーガーに近く、むしろナトリウム濃度が高いため、これら栄養的な面を考慮すればフェイクバーガーではあるもののヘルシーフードの代替になるとことに惑わされないよう大衆に注意を呼びかけている。
2017年12月、豚肉ソーセージに代わるビーガン・ソーセージ「ビヨンド・ソーセージ」が発表された。ブラットブルスト、ホットイタリアン、スウィートイタリアンの3種類のソーセージが用意されている。

■参考文献
・Beyond Meat - Wikipedia、2019年6月24日
・「植物肉」は“ほぼ”肉の味だった:日経ビジネス電子版 、2019年6月24日アクセス
・西海岸でブレイク!「植物肉」ハンバーガーの味:日経ビジネス電子版、2019年6月25日アクセス